ヘッドハンティング転職の意味と、成功させる方法【前編】

目次

【この記事でわかること】

そもそも、ヘッドハンティングとは
・ヘッドハンティングや転職が根付いた理由
・ヘッドハンティングが日本に根づいていった流れ
・ヘッドハンティングという言葉への誤解
・ヘッドハンティングの変化
・ヘッドハンティングとスカウトの違い

【最初に結論】

ヘッドハンティングは、企業側の事業成長や、個人のキャリアアップにとても有効な手段です。
ただし、入社後に相性が合わない事例があることも事実です。
以降、ヘッドハンティング転職の失敗例と成功例、ヘッドハンティングによる転職をする際のポイントなどを紹介しています。
ご自身のキャリアアップの方法や、ヘッドハンティングによる採用のご参考として頂ければと思います。

【そもそも、ヘッドハンティングとは】

ヘッドハンティングとは、企業が特定のスキルセットや経験を持つ個人を直接探し出し、彼らに仕事のオファーを提出することです。
これは、優秀な才能を確保するための積極的な手法であり、キャリアの成長にとって重要なショートカットとなることがあります。
この手法が特に価値を持つのは、求職市場が高度に競争的である現代において、企業が自社のニーズに最も適合した候補者を迅速に見つけ出すことができるからです。また、ヘッドハンティングは、ポテンシャルを持つが積極的に転職活動をしていない候補者に対して、新たなチャンスに目を向けるきっかけを提供します。

【ヘッドハンティングや転職が、日本に根付いた理由】

ヘッドハンティングなど、転職という選択肢が日本で普及した理由は、複数の要因によるものです。
日本の労働市場と企業文化の変化が、その普及を促進しています。
以下に主な理由を挙げます。

  1. 高度経済成長期の終焉と終身雇用制の変化
    日本の終身雇用制は、かつては労働力の安定供給と社員の忠誠心を確保する手段として機能していました。しかし、バブル経済の崩壊後、多くの企業がコスト削減と効率化を迫られ、終身雇用制が徐々に崩れ始めました。これにより、キャリアの自己管理と転職市場の活性化が促進され、ヘッドハンティングの需要が高まりました。
  2. グローバル化の影響
    経済のグローバル化に伴い、多くの日本企業が国際競争力を強化する必要に迫られました。これにより、特定のスキルセットを持つ国内外の才能を迅速に確保するために、ヘッドハンティングが重要な戦略として採用されるようになりました。
  3. 労働人口の減少と人材不足
    日本は急速な人口減少と高齢化社会に直面しており、特に若年層の労働人口が減少しています。これにより、企業間で有能な人材を確保するための競争が激化し、ヘッドハンティングによる直接的な人材獲得がより一般的な手段となりました。
  4. 専門性と技術の高度化
    IT、金融、バイオテクノロジーなど、専門性が高く技術的な知識が必要な分野では、特定のスキルを持つ人材の需要が高まっています。これらの分野では、適切な人材を見つけ出し、引き抜くためにヘッドハンティングが頻繁に利用されています。
  5. 職業観の変化
    若い世代を中心に、終身雇用への価値観が変化しています。キャリアアップやより良い労働条件を求めて積極的に転職を考える人が増えており、その結果、ヘッドハンティングを通じた転職が一般的になってきました。

これらの要因は相互に関連しており、日本のヘッドハンティング市場の成長と普及を促しています。企業は優秀な人材を確保するために、そして個人は自身のキャリアを発展させるために、ヘッドハンティングの利用を増やしています。

【ヘッドハンティングという言葉への誤解】

私がヘッドハンティングを開始した20年以上前と比べて、現在のヘッドハンティングは、もっと広義で、一般的なものになっていると思います。
これは、ビズリーチなど多くの媒体が根付いたことが理由であり、候補者の方々にとっては仕事の選択肢が増えるという意味で、企業側としては、本当に必要な人材を、必要なタイミングで採用が出来るというメリットがあります。
ただ、これは、会社に「所属する」ことに意味がなく、会社を活用して「成果を出す」ことに価値が出てきた時代になったとも言えます。
たまに候補者の方から「ヘッドハンティング(スカウト)で採用されました」と、それをプレミア価値のようにお話をされる方がいますが、どのように採用されたかは、意味がなく、それが大きな価値のようにお話をされると、「自分の意思がなく転職をした」「仕事に向き合うのではなく、誘われたからで意思決定した人」と受け取られる場合もあるため、少なくとも転職の流れに価値は置かないほうが良いと思います。
(少し調べただけでも、ものすごく綺羅びやかな経歴の方が三顧の礼で入社をして、1年〜数年で退職という記事も散見されると思います。)

【ヘッドハンティングの変化】

ヘッドハンティングという言葉の意味合いも、ここ20年でだいぶ変化をしてきたと思います。主だった項目について、整理をすると、

▼対象者: 以前は、経営層に近いハイレイヤーや、特定の能力を持つプロフェッショナルをターゲットにすることが多かったですが、現在は、20代のジュニアな方を含めて、より広い範囲の求職者にアプローチします。

▼料金:ヘッドハンティングにおいては、以前は、リテーナーと言われる前金(コンサル料)をいただいた上で、動くことが多かったですが、最近では、成功報酬制で、入社候補者の年収の20%〜100%がfeeになることが多いです。このパーセンテージは、「採用の難易度、重要度、緊急度」×「候補者の年収」×「その企業の魅力や考え方」×「ヘッドハンティング会社の強さ」で決まってくると思います。

▼アプローチの方法: 20年以上前は、まだ個人情報におおらかな時代で、大学でOBの人たちの名簿が閲覧出来ました。私自身、新卒時代に、OB訪問するために、キー局のアナウンサーレベルの著名人に、何度か手紙を送ったことがあります(返信はなかったですが)。その他、街の名簿屋さんなどがあり、情報の鮮度や正確さには、差があったものの、誰が、どこに所属をしているのかといった情報にリーチをすることが出来ました。その情報を踏まえて、電話(コールドコール)や手紙などでアプローチをすることが多かったです。また、パーティーや飲み会を開催して、人脈を広げていったり、「1対1の関係」ではなく、「1対N」の関係性を作って、今でいうコミュニティ形成していく人も多かったです。

▼候補者の状況: 20年以上前だと、そもそも転職する数自体少なかったですし、「転職=悪、裏切り」の考え方もありました。会社が養ってくれている以上、転職自体が裏切り行為だと考える風潮はありました。今は、多くのメンバーが価値を出してくれるからこそ、会社は成り立つし、価値の出せる優秀な個人は、他の会社でも活躍出来るという考えが出てきたため、以前よりも企業と人の関係性はフラットで、健全な形だと思っています。

▼備考:2000年代には、リストラを目的に経営者や人事から、「〇〇さんを引き抜いてほしい。彼(彼女)は、当社よりも活躍できる環境があると思うので」といった依頼が稀にありました。リストラが難しい日本の法令を考えると、穏便に出ていっていただく手段として理解は出来ます。ただ、企業側からネガティブに思われている方なので、他のクライアント企業に紹介することが難しかったり、候補者の方に「うちの社内の誰に、依頼されたんだ?」と強い口調で言われる可能性もあるので、基本的にはお断りをしていました。個人的には、「所属よりも、価値創出」といった考え方が一貫しているため、現職で価値が生めるように努力をするか、転職をして価値を生める場所に移動するほうが、自然な形だとは考えているのですが、なかなか協力が難しかったです。

【ヘッドハンティングとスカウトの違い】

ヘッドハンティングとスカウトは何が違うの?と疑問に感じた人もいると思います。
いずれも特定の人材を見つけ出して仕事を提案する手法ですが、その対象やアプローチの方法に違いがあります。
主な違いとしては、下記などがあります。

▼対象者: ヘッドハンティングは特定の能力を持つプロフェッショナルをターゲットにしますが、スカウトはより広い範囲の求職者にアプローチします。

▼アプローチの方法: ヘッドハンティングは個人に直接、個別にアプローチしますが、スカウトは求人広告やイベントを通じて広範囲の人々にアプローチします。

▼目的: ヘッドハンティングは企業の特定のニーズを満たすために特定のスキルを持つ人材を探しますが、スカウトは一般的に多くの候補者から選抜することを目的としています。

▼候補者の状況: ヘッドハンティングの対象となるのは通常、現職で活躍しているが転職を積極的には考えていない人材です。一方、スカウトされる人々は転職を積極的に検討している場合が多いです。

これらの違いを理解することで、企業は自社のニーズに最適なリクルーティング戦略を選択し、候補者は自分に合った機会を見極めることができます。
次回、後編では、ヘッドハンティングの実際の活用法や事例などをお伝えできればと思います。

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