【前提】
一口にヘッドハンターと言っても、幅広い意味を持っています。
ここでは、ビズリーチ内における、ヘッドハンターの動きや転職サポートについて、私見を述べたいと思います。
私がビズリーチで5回MVPを受賞していることから一定の見識はあると思いますが、見解の一つとして捉えて頂ければ幸いです。
【ヘッドハンターとは?ビズリーチとは?】
まずは、簡単に、ヘッドハンターとビズリーチに関して説明をさせて頂ければと思います。
『ヘッドハンターとは』
ヘッドハンターは、企業側のニーズにマッチした候補者の方を探す役割を担います。
採用依頼をいただいている企業にマッチした候補者を紹介することが目的なので、「優秀さ」よりも「マッチする」候補者を探し出すことが重要です。
『ビズリーチとは』
ビズリーチは、日本を拠点とするハイクラス向けの転職サイト・プラットフォームであり、特に経営層や高度な専門職の人材採用に強いサービスです。
2009年に設立され、キャリアアップを目指す個人と、優秀な人材を求める企業やヘッドハンターをつなぐ役割を果たしています。
【スカウトの種類】
▼ヘッドハンターからのスカウト
ビズリーチは、常時5000人以上のヘッドハンターとの強い連携を特徴としています。
自社サービスの健全性を進めるために、ビズリーチは、ヘッドハンターへの研修や入れ替えを定期的に行っています。
私の肌感からしても、ビズリーチに参画をしているヘッドハンターは、質も量も、毎年ブラッシュアップされている印象があります。
▼企業からのスカウト(ダイレクトスカウト)
候補者の方々は、ビズリーチにプロフィールを公開することで、企業側からのダイレクトスカウトを受け取ることが出来ます。
経営者や事業責任者、人事担当者からの直接的なメッセージなので、現場感や具体性があることが多いです。
【ヘッドハンター経由と、ダイレクトスカウト経由、どちらが有利か】
それでは、企業側からの直接スカウトと、ヘッドハンター経由のスカウトのメリット・デメリットを整理してみたいと思います。
▼ヘッドハンターのメリット
・企業やポジションなどの客観的な情報提供
・他社との比較検討
・履歴書、経歴書、面接対応などのブラッシュアップ
・年収や入社日、面接日程の調整
・双方からの面接フィードバックの擦り合わせ
・オファー条件や入社日の調整
・退職のサポート
・入社後のサポート
概して、「情報提供」「調整」「サポート」がメインです。
当事者たる候補者の方が検討・判断しやすいためのサポートを行う役割を担います。
▼ヘッドハンターが企業側の方に提供できるメリット
「候補者を見つけ出すこと」
「客観的視点で候補者を評価」
「事前に、企業やポジションに関しての理解度を深める」
「他社選考状況確認など、細かいフォロー」
「条件や入社日の調整」
「言い回しなどのミスコミュニケーションを防ぐ」
概して「工数削減」や「客観的視点」が大きなメリットと言えます。
▼ダイレクトスカウトのメリット
ヘッドハンターへのコンサルfeeがカットできます。
その分、選考に受かりやすくなったり、年収や一時金が高くなる可能性もあると思います。
ヘッドハンターのサービスに価値を感じられない場合には、企業側との直接のやり取りをメインにした方が良いと思います。
私を含むヘッドハンターたちもお金をいただく以上は、その金額を超える付加価値を生むべきだと思います。
【ヘッドハンターの候補者に対しての役割
▼人材を探し出す(サーチ)
ビズリーチにおけるヘッドハンターは、クライアント企業の依頼をもとに、その採用ニーズを満たす人材を見つけ出すために、ビズリーチを活用してアプローチを行います。
この『探し出す』ことが『サーチファーム』とも言われるヘッドハンティング会社の最大の価値とも言えます。
探し出すことが出来るのであれば、ビズリーチでも、人づてのご紹介でも良いと思います。
たまに企業側から「ビズリーチにいる候補者だったら、ウチの会社からもリーチが出来るので価値が薄いですね」と言われることもあります。
仰ることは理解が出来るのですが、一方で「数百万人以上の候補者データから探し出すこと」「一人の候補者に数百以上のスカウトメールが届くこと」から、ビズリーチ経由であっても、マッチする候補者と接点を持つことは、簡単ではないです。
「探し出す」は最も難しく、価値が高い仕事だと思います。
▼見定めと情報提供
見つけ出した候補者が、企業側のニーズや社風に合致するか、を見定めます。
選考は「合否」と「相性」であり、その候補者が転職後にアウトプットを出せるか、社内に馴染むか、がポイントとなります。
企業側のニーズに近く、相性も良さそうな場合には、事業や求人の情報提供をさせていただきます。
また、転職慣れをしていない場合、自身の強みや考え方を言語化が出来ない方も多いです。
その場合には、「履歴書・経歴書のブラッシュアップ」「面接における、言語化」「主観と客観の切り分け」などのサポートをさせていただきます。
▼選考プロセスと条件の調整
選考プロセスの段階では、当事者である企業側と候補者側がスムーズな面接、面談が出来るように調整を進めます。
意思決定自体は当事者が行うべきことだと思うので、ヘッドハンターは、必要以上のプッシュや、ミスリードをするような情報提供は控えるべきだと思います。
情報の客観性と、主観的な意見を切り分けて、当事者が納得度の高い意思決定が出来るようなサポートを行っていきます。
晴れて、当事者同士の相性が良かったときには、入社時の条件や日程の調整を進めていきます。
話は変わりますが、優秀な候補者や、企業側と相性が良い候補者ほど、ヘッドハンターはサポートが必要ないです。
もちろん、他の選択肢よりも採用競合で勝つことや、現職からの退職をサポートをする事もありますが、「選考に受かる」という部分に関しては、全くサポートが必要ないです。
そのような点からも、マッチする候補者を「見つけ出す」ことが最も価値があり、難しいと言えると思います。
▼フォローアップ
候補者が新しい職場に就いた後も、ヘッドハンターはしばしばフォローアップを行い、スムーズな職場への適応を支援します。
経験則上、あまりにも入社後のフォローアップをしてしまうと(ヘッドハンターが候補者の近くにいると)、無意識的にも、次の転職を刺激することになるため、節度ある行動が求められると思います。
一人ひとりをフォローするよりも、交流会のような形でフォローをしたほうが実践的なフォローと言えるかもしれません。
【ヘッドハンターを使った転職の成功例・改善例】
▼ヘッドハンター経由の成功例1
・ケース:知らない企業・ポジションに出会えた
・企業:Saas企業
・年齢:40代前半
・ポジション:事業責任者候補
・待遇:2000万円→1200万円+SO
・転職時の成功ポイント:
スタートアップ経験者の中には、既にIPOを経験していて、稼ぐことに固執していない方も少なくないです。
とはいえ、年収が落ちるのであれば、それ以上の事業・仕事・人・将来性の魅力が無いと難しいです。
多くの会社が、年収ダウンを超える魅力を感じることが出来ない中で、「この会社・このポジションであれば」という機会に出会う。
この出会いは、2パターンあると思っていて、「事業・仕事・人・将来性の総合的な魅力」か「事業内容などセンターピンの魅力が突出して高い」ケース。
▼ヘッドハンター経由の成功例2
・ケース:志望度の高い会社に入社
・企業:AI企業
・年齢:30代前半
・ポジション:データサイエンティスト
・待遇:800万円→1000万円
・転職時の成功ポイント:
AI企業は、情報が抽象度が高かったり、ビジネスモデルが似ている場合もあります。
求人情報の文章からは、各社の違いが分かりづらいです。
そのような状況の中で、実績があるヘッドハンターであれば、企業、ポジションに関しての独自情報を持っていたり、入社実績をもとに、入社後の具体的な活躍イメージを高めることや、各社との相性を紐解く事が出来ます。
ご自身のキャリアを委ねても良いか、実績、相性、入社後の活躍イメージなどをヘッドハンターにヒアリングしてみても良いかもしれません。
▼ヘッドハンター経由の成功例3
・ケース:条件を交渉してもらえた
・企業:インターネットサービス企業
・年齢:40歳前後
・ポジション:CTO候補
・待遇:1000万円→1800万円
・転職時の成功ポイント:
入社後の人間関係を考えると、企業側との年収交渉に積極的になることが難しい候補者も多いです。
一方で、自身を高く評価したオファーを受けたいと考える気持ちも理解が出来ます。
入社後に想定される活躍イメージ、他社からの引き合い、面接での評価などを引き合いに、無理のない形で、双方の納得度の高い調整を進めるのが、ヘッドハンターの役割だと思います。
▼ヘッドハンター経由の改善例1
・ケース:ヘッドハンターのメリットで動かされた
・ポイント:
ここからは弊社の事例ではないので、候補者の方々から聞いた話として。
・ヘッドハンターが候補者を囲い込むために、何十社も受けさせて、身動きが取れないようにする
・コンサルfeeが高い企業に、優先して紹介をする
などを行うヘッドハンティング企業はいまだに多いです。
「書類で受かる確率は10%くらいなので50社出しましょう」と伝えて、ほぼ全社の書類が通ってしまったり、入社後の相性を度外視して「とにかく話をしてみてください。魅力的なんで」と伝えたり、誰も幸せにならない事例も散見されます。
▼ヘッドハンター経由の改善例2
・ケース:何のメリットも感じられなかった
・ポイント:
「抽象度の高い美辞麗句で彩られた情報」
「まずは会ってみて、その後は当事者同士の判断で」
など、介在している価値がなく、お金だけいただくヘッドハンターもいます。
お会いした際に、「ヘッドハンターさんの付加価値って、なんですか?」と確認してみて、どのような意識で仕事をしているのかを確認しても良いかもしれません。
【総括】
ヘッドハンターは、企業が必要とする人材を探し出し、当事者間のスムーズなコミュニケーションや、納得度の高い判断をサポートするプロフェッショナルです。
そしてビズリーチは、ヘッドハンティング業界のレベルを高めることで、個人や企業を活性化させて、日本経済の盛り上がりに繋げていこうとしている、プレミアムな転職サイトだと思います。
ビズリーチ上では企業からも直接スカウトが届きますが、それだけはなくヘッドハンターとタッグを組むことで、より広いキャリアプランが組めることでしょう。
ビズリーチを活用される際に、上記の情報が少しでも役に立てば幸いです。