▼中途面接を苦手とする方々
キャリアを積み重ねている方でも、転職活動の経験が浅く、面接を苦手としている人も少なくないです。
理由の一つが「新卒時代の面接イメージを引きずっている」だと思います。
「企業側に気に入ってもらおう」「合格をしたい」という気持ちが強くて、相手に合わせてしまいます。
相手に合わせて話す人は、魅力が低減してしまいますし、思うような結果を得ることが難しいです。
生き生きと、自身を表現する意味でも、中途面接は、新卒面接とは違うスタンスで臨んだ方が良いと思います。
▼中途面接でのスタンス
それでは、中途面接では、どのようなスタンスで臨むのかを整理していきたいと思います。
1.「やりたいこと」より、「できること」を中心に伝える
新卒採用は基本的に、ポテンシャル重視です。
そのため、面接では将来の「やりたいこと」を中心に話すのがセオリーです。
一方、即戦力になるかどうかを見られる中途採用の面接では、それ以上に今「できること」を伝えたほうが良いです。
転職希望者の中にも、「新規事業を立ち上げたい」「経営に近い仕事をしたい」というように、「やりたいこと」を中心に語る方々もいます。
しかし、たとえば「どんな新規事業ですか?」と質問すると、残念ながら具体的なアイデアが出てこないケースがほとんどです。
また、経営に携わりたいと言う方も、会社経営に伴う泥臭い実務や、社員の生活を背負うリスクなどの現実に目を向けられていないことがよくあります。
企業側としては、こうした方を積極的に採用することはありません。
「経験がない、やりたい仕事」にチャレンジしても成果が出ない可能性が高いですし、その人にマッチした「できる仕事」にアサインしても「やりたい仕事ではない」と不満を持つリスクが大きいからです。
新卒採用の時と違って、採用する側は「可能性」ではなく、「現実」や「成果」を期待します。
冷静に自己分析を行い、面接では自分が実際に「できること」を語りましょう。
2.「抽象的な夢」より、「明日の結果」の話をする
「3年後には、こんな事業を作りたい」「5年後には、独立したい」などというように、中長期的な目標を持つことは素晴らしいです。
また、自分や世の中がどのような変化をしていくかを、想定していることは、非常に大事なことだと思います。
ただ、その内容に具体性がなかったり、「お金を稼ぎたい」「偉いと思われたい」という自分起点の考え方だと、人の心に響くことは難しいと思います。
「明日から踏み出す第一歩」や「数ヶ月〜1年単位で、具体的かつ現実的に成果が出せる仕事」などの話をした方が、生産的なアピールになるでしょう。
3.面接官は「試験官」ではなく、「将来の同僚」
初めて転職面接を受けた方からフィードバックをいただくと、
「新卒面接とは全く違いました。社会人と学生の違いから、新卒時は面接官との上下関係が強いと感じていました。それに対して転職面接は面接官と対等な関係で、『将来の仲間を探している』という印象を持ちました」
といったフィードバックをいただくことも多いです。
この感覚は、転職先を決める上でもかなり重要です。
面接官は単なる試験官ではありません。
もしその会社に転職すれば、一緒に働く同僚になります。
「仲間として上手くやっていけるかどうか」は、転職者側もしっかりチェックした方が良いでしょう。
もちろん一定のビジネスマナーは必要ですが、面接官と会話をする際は現職で同僚と話す感覚で良いと思います。
もしそれで違和感がなければ、その会社とはかなり相性が良いと言えるでしょう。
4.「正論」ではなく、「自分の考え」を伝える
面接官にお行儀の良い話を伝えることは意味がありません。
妥当性の高い話は自分なりの考え・熱量・哲学などが含まれてこそ、意味があり、相手の心にもしっかりと響きます。
面接官だって人間です。
内定をゴールにして、「かくあるべき」という優等生的な話ばかりしては、つまらない人物と判断される可能性も大です。
面接ではぜひ自分の言葉で、本音でぶつかっていきましょう。
それを汲み取ってくれる会社の一員になれたら、納得度の高い転職になると思います。
▼総論
よく言われるように、転職は結婚と似ています。
会社との相性の良さが重要になってくるので、「コレが正解」というものはありません。
そして結婚同様、転職はゴールではなく、スタートに過ぎません。
上記の4つのポイントは、面接の合格手法ではなく、「いかに会社と自分の相性を見定められるか」を考えた内容になっています。
転職することによってさらに充実した人生を送れるように、面接では合否ではなく、相性の良さを重視する機会にして頂きたいと思います。