【そもそも面接とは?】
面接は、「利益や価値を生み出してくれる」「課題を解決してくれる」「自社と相性が良い」人を採用するためのプロセスです。
採用は、
・まずは、課題がある
・その課題を解決できる人を、言語化する
・その言語化をもとに、採用活動を行う
というプロセスを通ります。
全てのニーズを言語化出来ている訳ではないです。
結果を出してくれて、相性が良ければ、採用をするというのが企業側の本音だと思います。
多くの人が「募集要項に照らし合わせて、自身と合っているか」を擦り合わせますが、それでは片手落ちだと思います。
非常に極端な例ですが、大谷翔平選手は野球をメインでやってきましたが、その広告効果や折衝能力の高さがあれば、これまでの経験とは関係なく、ほとんどの会社で大きな成果をあげてくれると思います。
経験は、利益を生むための一つの可能性であって、決定打ではないです。
また、企業側のニーズとジグソーパズルのように組み合わせるものでもないです。
募集要項だけではなく、企業側のニーズや課題を踏まえて、ご自身のアウトプットイメージを整理した方が良いと思います。
【面接に落ちるパターンの具体例】
続いて、面接に落ちる理由の具体例を整理していきたいと思います。
①コスト以上の価値貢献が見えない
採用や雇用におけるコスト以上の価値を期待して、企業側は「採用」という判断をします。
コストの算定内容には、年収だけではなく、諸手当、年金、のれん代、管理部門維持費などです。
一つの目安として年収の3倍以上の価値貢献を期待していることも多いです。
もちろん、価値貢献の数値化が難しいポジションもあるので、例外もありますが、基本的には、価値貢献が見込めない方は採用しないですし、仮に採用されても、入社後に価値が生み出せず不幸な転職になる可能性もあります。
逆に言えば、年収の3倍以上の利益貢献イメージを持つことが出来れば、自信を持って企業と話が出来ると思います。
また、入社後の活躍可能性も高まり、企業側も高い評価でオファーが出来ると思います。
面接を受ける前には、ご自身の利益貢献イメージを具体的に整理し、企業側に伝えた方が良いと思います。
②can、will、must(出来る事、やりたい事、するべき事)が一致しない
営業をやってきた方が「エンジニアになりたい」という違う職種を希望する場合はもちろん、今まで経営やマネジメント経験が無い方が「経営に参画をしたい」「マネジメントをしたい」と志望してもNGになることが多いです。
たまに「転職する以上は、新しいことにチャレンジしたいです」と言われることがあるのですが、企業側は「ウチはチャレンジ場や実験場じゃない」「現職や他で実績を積んでから、ウチで成功体験を再現させて下さい」という判断をすることが多いです。
言うまでも無く、経営や事業というのは、責任が発生します。
その責任を本当に負えるのか、結果を出す解像度が高いかを、整理してみると良いかもしれません。
③一気に、全ての希望を叶えようとする
例えば「優良企業で、年収やポジションが上がり、社風は良く、やり甲斐のある仕事に就きたい」といった希望を描くことは良いことだと思います。
その希望を叶えるには、「自分がその水準に達する」しかないと思います。
転職という場面で、一気に全ての希望を満たそうとする人もいますが、水準に達していない候補者は、希望を叶えることが出来ません。
水準に達していなくても、企業側がオファーを出す場合もありますが、落とし穴があって、入社後に「こんなはずではなかった」と思うことは少なくないです。
「転職という行為で、実力が上がる訳ではない」ので、「転職で、大幅なポジションアップはない」と考えることが自然だと思います。
いきなり希望の全てを叶えようとせずに、入社後の実績で段階的に希望を叶えていく形が現実的だと思います。
④他者評価と自己評価に乖離
これがNGになる一番多い理由かもしれません。「成果を上げてきたのに、昇進出来ないので、転職します」
「自身には1500万円の価値があるので、年収アップを希望です」
「自身はCXO相当の仕事をしてきたので、経営に参画したいです」
などを転職理由にする人は多いです。
少なくとも、初めて話を聞く人間としては、「自己評価は理解をした。ただ、この人には、その実力がないから、この年収、このポジションなのだろう」と推測します。
評価というものはあくまで他人がするものなので、自己評価よりも他者評価が勝ります。
他者評価と自己評価の乖離があると、企業側としては「自分で思い込んでいる評価を与えないと、不満を言いそう」と判断してお見送りする場合も多いです。
⑤現年収から大幅UPの希望年収提示
例えば、現年収が1000万円の方が転職を機に1500万円以上の年収を狙うことは難しいです。
年収は「現年収」「入社後の価値創出」「市場価値」などが算定根拠になりますが、特に「現年収=今まで積み上げてきた評価」の図式が、重要視される場合が多いです。
それにも関わらず、大幅UPの年収希望を出すと、企業側としては、「この希望年収の根拠は?」「希望年収を出しても良いけれども、成果を出せるのかな」と不思議に思われたり、「論理的に思考が出来ていない」という評価でNGになる場合も多いです。
それでも希望をされる方は、逆に、現年収1000万円の方に、1500万円以上のオファーを出す理由を考えたほうが良いかもしれません。
ただし、年収の大幅UPに見合った価値貢献が出来る場合には、この限りではなく、それが公正な年収なのだと思います。
【イメージ例】
今回は、面接でNGになった事例をお伝えします。
これらの事例は、絶対にNGではなく、実際に行ける場合もあるからこそ、「他の人が行けるなら、私も」と志望をする方が多い傾向にあります。
もし、チャレンジをするなら、入社後のアウトプットの責任を、より具体的に考えて臨んだほうが良いと思います。
▼イメージ①
ポジション:管理部門責任者
・希望:CFOをしたい
・ポイント:
資金調達の経験がないので、転職で資金調達経験を積んで、管理系ではなく、CFOキャリアを積みたいという考え。
これは理解が出来る希望ですし、実際に、そのような転職をしている人もいらっしゃいます。
ただ、未経験からのチャレンジであることは事実です。
どうやって未経験の部分をキャッチアップしながら、CFOとしての役割を果たしていくかの解像度を高めることは大事ですし、なぜ企業側が、未経験の人をCFOとして採用したかの理由を汲み取って、覚悟感をもって役割を担うことが大事だと思います。
▼イメージ②
・ポジション:代理店営業マン
・希望:事業会社でマーケティングをしたい
・ポイント:
実際に代理店から事業会社に行きたいと仰る方は多いですし、行ける方も多いです。
それ自体を否定するわけではないのですが、話を聞いてみると、「先輩の誰々さんが行けたので、自分も行けるはず」など、それは会社でアウトプットを出すことに関係ないのでは?と思う志望理由も多いです。
また、事業会社側が代理店の方にNGを出す理由の多くが「PDCAサイクルを責任を持って回した経験がない」などですが、明日から、その事業会社のマーケティング担当者として、実績を出せる解像度を高めて臨んだほうが良いかもしれません。
▼イメージ③
・ポジション:全職種
・希望:年収を大幅に上げたい
・ポイント:
「自身の年収が市場価値より低いと思います。」と言う人は少なくないですし、ヘッドハンター視点で、そう思える人も多いです。
ただ、評価は他人がするものなので、それを自己評価で「もっと高いと思います。」は説得力が薄いです。
「他社で、これだけのオファーが出ました」
「入社した場合、これだけのパフォーマンスが出せます」
「弊社に選考を受けに来た人が、自身よりも年収が数百万円高かったです」
など、自分の外の指標や、自身が果たせるパフォーマンスで相談をしたほうが良いかもしれません。
▼イメージ④
・ポジション:全職種
・希望:CXOになりたい
・ポイント:
経営の一画を担いたいという思いは、それだけの責任を背負いたいという意思の表れだと思うので、非常に尊いものだと思います。
一方で、自分のプライドや、他人からの見られ方のために、CXOになりたいという方も多いです。
まずは、「CXOの責任を果たせるのか」「その責任を果たせるパフォーマンスとは」という解像度を高めてから臨んだほうが良いかもしれません。
【結論】
面接で落ちると、自分を否定された気持ちになって少なからずショックを受けると思います。
ただ、それを成長の糧にすることや、自身を理解するキッカケにも出来ます。
全てはプロセスなので、結果もフィードバックも、ご自身のプラスに変えて頂ければと思います。